英文和訳問題は、大学受験でおなじみの設問の一つです。国公立大学はもちろん、私立大学でも定番の一つとなっています。

ところが英文解釈のテキストなどでこうした問題に取り組む高校生の多くが、英文を意味の通った日本語に直すことを苦手としています。


 

なぜ「おぞましい和訳」が生まれるのか

英語を訳すには単語や熟語や構文の意味を知っている必要があります。しかし単語の意味を知っているだけでは、文をきれいに訳すことはできません。なぜなら文は単語が連なってできているからです。ですから英文を訳すときも、単語同士が自然につながるような日本語の表現にする必要があります。

これが上手くできていない場合、どのようなことが起こるのか、例文で見てみましょう。

   What is required for a child to be able to learn to read is not knowledge about reading’s practical usefulness, but an ardent belief that being able to read will open to him a world of wonderful experiences, permit him to overcome his ignorance, understand the world, and become master of his fate. (一橋大)

この文を英文和訳に不慣れな生徒に訳させると、おおよそ以下のような文が出来上がります。

●典型誤訳
 子どもにとって読むことを学ぶようになれるために要求されることは、読むことの実際の便利さについての知識ではなく、しかし読めるようになることが彼に素晴らしい経験の世界を開き、彼に彼の無知を克服することを許可し、世界を理解し、そして世界の運命のマスターになるという熱烈な信念だ。

“What is ~”は「~すること」、”is required”は「されること」、”for a child to be able to learn…”は”for 人 to V”だから、「人にとってVすること」……のように、知っている単語を直訳し、構文の知識をもとに羅列していくと、このようになります。しかし見ての通り、日本語の文としては、せいぜい何となく言っている意味が分かる程度で、およそ「美しい」とは言い難いものです。訳している本人が自分で何を言っているか分からないということも珍しくありません。

ついでですから、有名ウェブサービスの自動翻訳に掛けた文も見てみましょう。

子供が、読むのを学ぶことができるのを要求されるものは、読書の実用的な有用性についての知識ではないけれども、彼が彼の無知に打ち勝つことを許し、世界を理解し、彼の運命の修士になる熱烈な信念 that 彼のために開いているリードオンリーのための可能 すばらしい経験の世界。

お察しの通り大変エキサイティングな文となります。ううむ。


 

正しく文を訳すのに必要なこと

こうした「悪訳」を防ぐためには、訳した単語を有機的につないで、自然な文にする必要があります。その時必要になるものこそ、日本語の語彙であり、国語の表現力です。残念ながら、これは一朝一夕には身に尽きません。常日頃から日本語の文に触れ、日本語のきれいで分かりやすい表現がどういうものか、肌身で覚える必要があります。ですから、単語や熟語、構文の勉強はきちんとしているのに、英文和訳が苦手な人に不足しているのは、国語の勉強だ、ということです。

最後に、意味の通るように訳した拙訳をご紹介します。

 子供が本を読めるようになるのに必要なことは、読書が実際役に立つのだと知ることではなく、本が読めることで、さまざまな素晴らしい体験にあふれる世界が子どもに開かれ、無知が克服でき、世の中を理解でき、そして自分の運命を思い通りにできるようになるという強烈な信念なのだ。




 


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